たぶん、あなたも「ブルース・リー(Bruce Lee)」という名前を一度は聞いたことがありますよね。

格闘技や武道が好きな人でなくても、たいていはこの名前委を聞いたことがあるはずです。

一部の隙もなく鍛え上げられた肉体と、戦うときの「アチョー」という叫び声は、強烈なインパクトがあるので、一度見たら忘れられないですよね。

ブルース・リーって、一般的には武道家やアクション俳優としてばかり知られていますが、実は哲学者としても知られているんですよ。

ワシントン大学では哲学を専攻していたし、高校で哲学の講師をしていたこともあるそうです。

実際、ネットで検索するとブルース・リーの名言を紹介するサイトがたくさん見つかります。

たとえば、下に書いたのがその1つなんですが、意味が分かりますか?

私は1万発のキックを一度に繰り出せる者を恐れないが、1発のキックを1万回練習した者を恐れる。

http://www.lifehacker.jp/2015/10/151028_learn_remember.html

これは「ライフハッカー」というブログで紹介されていたブルース・リーの名言の日本語訳なんですが、「1万発のキックを一度に繰り出せる者」って、どんな人なんでしょうか?

北斗の拳のケンシロウが悪党のハートを退治したときに、ものすごい連続キックを使いますが、それでも1万発には遠いと思います。

北斗の拳のケンシロウがハートを蹴るシーン

北斗百烈拳でも100発ですよ。

北斗百烈拳

「1万発のキックを一度に繰り出せる者って、いったいどんな人なんだろう・・・」って気になってしかたないのでGoogleで調査してみると、原文は以下のように書かれていました。

I fear not the man who has practiced 10,000 kicks once, but I fear the man who has practiced one kick 10,000 times.

(私は、1万種類のキックを1度ずつ練習した者を恐れないが、1種類のキックを1万回練習した者を恐れる)

Bruce Lee

「1万発のキックを一度に繰り出せる者」じゃなくて「1万種類のキックを1度ずつ練習した者 」が正解。

意味が分かってやっとスッキリしました。

それにしても酷い誤訳です。

「1万発のキックを一度に繰り出せる者」なんか存在するわけがないから、何か間違っているって気づくべきですよね。

■ ブルース・リーだけじゃない。世の中誤訳だらけ。

この誤訳を掲載していたライフハッカーはブログなので、内容に不備がないか慎重にチェックせずに公開してしまったな、ということが想像できます。

でも、小説や映画や海外ドラマの吹き替えでも誤訳ってかなり多いんですよ。

たとえば、海外ドラマを字幕で見ていて気づくことが多いのは、「call someone names」って表現の誤訳です。

暴力事件を起こした男が、警察の取り調べ室で「なんであんなことをしたんだ。」と聞かれたときに、

「あいつ、名前を呼びやがったんだ。」

って返事したのを何度か見たことがあります。

怒るスペイン人

でも、名前を読ばれたからって、怒って暴力を振るうわけがないですよね。

実は「call someone names」っていうのは、「侮辱する」って意味なんですよ。

A lot of people called him names and I was one of them.
(大勢の人が彼を侮辱した。私はその一人だった。)

のように使います。

「名前を読んだから暴力を振るうなんて、何か変だぞ」と考えたら、「call ~ names」って表現を調べなきゃと思うはずなんですが、面倒くさくてそのまま納品してしまったのでしょうか。

納品された製作会社の人も、正しく翻訳できているかチェックせずに、そのまま日本語の音声を吹き込んで出来上がりにしてしまうのだから、世の中いい加減なものです。

■ 映画も誤訳だらけ

映画アンブレイカブルのブルースウィルス

ブルース・ウィルス主演の「アンブレイカブル(Unbreakable)っていう映画に、生まれつき骨が弱くて、転んだだけで骨折してしまう少年が登場します。

この少年が母親に向かって、「怪我をしたくないから家から出ない」って言ったときに、お母さんが言います。

「あの椅子とこのテレビの間で落ちることだってあるでしょ。」

「えっ?椅子とテレビの間で落ちる?どこに?」

と思って英語を確認すると

You can’t do anything about that.
(それについてできることは何もないのよ。)

You might fall between that chair and this television.
(あの椅子とこのテレビの間で転ぶことだってあるでしょ。)

なるほど!「fall」を「転ぶ」ではなく「落ちる」と訳したんですね。

だから意味が分からない。

「転ぶ」って辞書に書いてあるのに、どうして間違えるのかな?

■ ハリソン・フォードも誤訳でガッカリ

ブレードランナーのハリソン・フォード

しばらく前に、ハリソン・フォード主演の「ブレードランナー(Blade Runner)」をケーブルテレビで見ました。

すると、プリスっていう名前の女性が

「私思うの。セバスチャン。私はいるのよ。」

というような意味不明なことを言います(正確な日本語訳は忘れましたが、こんな感じでした)。

「なんだそりゃ?意味が分からんなあ」と思って英語を確認すると

Roy: We’re not computers Sebastian, we’re physical.
ロイ:私たちはコンピュータじゃないのよ。セバスチャン。私たちは生きてるの。
※「physical=肉体的」

Pris: I think, Sebastian, therefore I am.
プリス:我思う。ゆえに我ありね。セバスチャン。

って言っていました。

途中にセバスチャンが挿入されていますが、これはデカルトの「我思う、ゆえに我あり」です。

「会話が成立していないんだから、ちゃんと調べろよ。」と思いますすが、面倒だったのか納期が厳しかったのか、はたまた会話が成立していないことに気づかなかったのか・・・そのまま公開されちゃったんですね。

■ コンピュータに翻訳させたらどうよ?

人間が翻訳したら、どうしても誤訳は避けられないみたいです。

最近はコンピュータを使った機械翻訳が発達してきたので、人間が翻訳するよりコンピュータに翻訳させた方が速いし安上がりだという意見もあります。

そこで、New York Timesの記事をGoogle翻訳で訳してみたところ、以下のような翻訳文が出力されました。私はプロ仕様の業務用翻訳ソフトを持っていますが、翻訳品質は似たようなものです。

ラグビーは、よりエキサイティングで、前回大会よりも、試合より競争力。これらの大群衆が、多くの場合、そうな場所に、本物の熱意をもたらしました。アイルランドのファンはカーディフ、ウェールズの首都、自分自身を作りました。フィジー人は、ミルトンキーンズの町を魅了し、アルゼンチンの信者は、彼らが訪問したすべての都市とスタジアムの祝祭を行いました。

原文はこちら↓

The rugby was more exciting, and the matches more competitive, than at previous tournaments. Those big crowds brought real enthusiasm, often to unlikely places. Ireland’s fans made Cardiff, the Welsh capital, their own. Fijians captivated the town of Milton Keynes and Argentina’s followers made a fiesta of every city and stadium they visited.

http://www.nytimes.com/2015/11/04/sports/rugby/what-japan-can-learn-rugby-world-cup-2019.html?_r=0

コンピュータが人間にとって代わるのは、もうしばらく先のようです。

 

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