海外旅行の失敗って
何年たっても忘れないものですね。
もうかなり昔の話ですが、
私は英語ダメダメだった時代に
バンクーバーのスターバックスで悲しい失敗体験をしました。
前にお話ししましたが、覚えていますか?
当時はまだ、スタバみたいな喫茶店は日本にはなかったから
コーヒーと言えば「ホット」か「アイス」だけ。
せいぜい「ウインナーコーヒー」だった時代です。
シアトルからバスでバンクーバーに行ったその日
すごく寒かったから体を温めたくて
暖かいコーヒーを飲める喫茶店を探していました。
冷え切った手を暖かいコーヒーで温めたかったんです。
そんなときに見つけたのが
当時は日本にはなかったスターバックス。
「さあ、暖かいコーヒーを飲めるぞ」
と張り切って入ったはいいけど
メニューがぜんぜん読めなくて困り果てました。
とりあえず、聞き覚えがあった
「エスプレッソ」を注文したところ
出てきたのは、オチョコみたいに小さい紙コップに
ちょろりと入った妙に濃いコーヒーでした。
あんな小さな紙コップを見たのは
生まれて初めてでした。
暖かいコーヒーで体を温めたかったのに
オチョコのコーヒーでは役に立ちませんでした。
あんなショッキングな経験は初めてです。
当時は簡単な英語すら話せなかったので
何も言えずにクイっとエスプレッソを飲んで
おめおめとスタバを去っただけでした。
本当にむなしい気持ちで一杯でした。
「英語を少しでも話せたら・・・」
と思うと残念でしかたがありません。
海外旅行の恥ずかしい失敗は記憶から消えない。
■ 実は、この話には続きがあります。
その数か月後、私はアメリカ留学して
シアトルに住んでいました。
アメリカ生活に少し慣れてきた私は、ある日
ショッピングモールにあるスタバに行きました。
メニューを読めるようになっていたので自信まんまんです。
このとき、レジのところで私の前に並んでいたのは
日本人の家族連れでした。
お父さん、お母さん、高校生くらいの娘という、
見るからに
「家族で海外旅行を楽しんでいます。」
って感じでした。
この家族は、誰も英語ができないらしくて
コーヒーの種類もよく分からない様子。
で、お父さんが「男らしいところ」を見せるために
最初にコーヒーを注文していました。
お父さんが注文したのはエスプレッソ。
「おっ、このおじさん。意外に通だな。」
と思って見ていたら
金髪美人の店員さんに差し出された
オチョコみたいに小さな紙コップに入れられたコーヒーを
親指と人差し指でつまむように持って
何も言えずに立ち尽くしていました
目は丸く見開き
口はタコみたいに前に突き出した状態。
■ このお父さんはオレだ。
どうやら、お父さんも
私がバンクーバーでやったのと同じように
とりあえず聞き覚えのあるエスプレッソを注文したみたいです。
で、予想外に小さい紙コップが出されて
「何じゃあ、こりゃ?」
と呆然としていたわけですね。
「半年前のオレと同じじゃないか。
このお父さんはオレなんだ。」
ジョジョの奇妙な冒険
「お父さんの心のキズはオレのキズだ」
正直言って、このときほど
赤の他人に「共感」を覚えた経験は他にありません。
お父さんがショックを受けているのをよそ目に
お母さんと娘は、他人のような顔で
お父さんとは別の飲み物を注文していました。
■海外旅行の失敗体験はずっと尾を引くかも。
海外旅行に行って
気に入らないことがあるのに
「おい、ちょっと待てよ。何これ。」
くらいのことも言えないのって
ものすごく悲しいです。
日本語が通じたら絶対に言ってやるのに・・・
特に家族の前でこんな経験をしたら
その後、ずっと言われ続けるじゃないですか。
「お父さんがドヤ顔でエスプレッソを注文したらね。
こんな小さい紙コップが出されてね・・・」
って、娘にずっと言われること請け合いです。
だからってわけじゃないけれど、
言いたいことくらいは英語で言えるようになってから
海外に行きたいものですね。
海外旅行で使う英語って内容が限られているから
しばらく集中的に練習したら
だいたいのことは問題なく言えるようになります。
このお父さんみたいに
「恥ずかしい思いで作り」
をしたいなら別だけど
海外旅行で楽しい思い出を作りたいなら
言いたいことくらいはビシッと言えるようになりたいですね。
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